PT国試,義肢装具関連問題の解説.
今回は第53回理学療法士国家試験午後の19問目から,T字杖の位置設定に関する問題です.
あまりにも基本中の基本で,解説は不要かもしれませんが.卒後も利用者さんに説明する機会も多い内容ですししっかり確認しておきましょう.
65歳男性.身長165㎝.
図のように歩行補助具として杖の長さを調整する際,指標とするべき杖先の位置を示す.
aの距離と肘の角度bの組み合わせで正しいのはどれか
問題を解くうえで
今回の杖の握りの位置と長さの設定,つく位置に関しては.決まりごとといっても良い程度に,使用しやすい位置設定があります.
それを知っていますか?という問題なので,今回は簡単に解説して終わりです.
杖の握りの位置に関しては,杖の種類や身体の状況によって変わってはくるものの.設定する基本として知っておきたいたいのは
- 杖をつく位置と丁度いい肘の角度
- 適切な杖の長さ
- 基準となるランドマーク
でしょうか.
T字杖の長さ設定
ではT字杖の設定について確認しましょう.
まず杖をつく位置ですが.
「つま先から前方15㎝,外側15㎝」が杖をつく位置の目安となっています.
体格やアライメント,疾患によって若干変わってはきますが.近すぎては基底面を広げる効果が少なく.遠すぎれば鉛直方向の力はかかりにくく支えづらいです.
その状態で,「肘を20~30°屈曲した時に丁度よい握りの位置」に杖の長さを設定したものが.使用しやすい杖の長さとされています.
杖の使用方法をお伝えする際はコレが基本となりますが,良い長さが伝わりにくいので.
杖を真っ直ぐ立てた時に,大転子レベルや茎状突起レベルを目安とすると.ほぼ同じ長さに設定することが出来ます.
解答の考え方
では選択肢を見ていきましょう.
正答は,3. 15㎝-150°の組み合わせですね.
この問題に関しては,特に考えることもなく.ただ知識を問う問題ですね.
まとめ
T字杖の位置設定に関する問題について解説しました.
「使いやすい長さはこの長さ」という,基本的な決まりごとに近い問題なので,あまり解説できることもなかったですね.
こういった位置設定やチェックアウトの問題では.「cmの感覚」は結構重要だったりします.今回の問題を例にすると,前方5㎝,外側5㎝という選択肢を想像してみると.5㎝というのは実際かなり小さな値です.
国試を解くうえでは,「この数値おかしくない?」と単純に思える事も案外大切です.難易度としては「絶対に間違えてはいけない問題」ですね.杖を扱う上で基本中の基本なのでしっかり押さえておきましょう.
杖1つとっても,正しい使い方は重要です.何でも無い時は問題なく使えていても,雨天時など条件が変われば転倒に繋がる恐れもあります.
正しい情報を,しっかり理解できるようお伝えするようにしたいですね.
参考文献
日本整形外科学会 ほか(監修),義肢装具のチェックポイント,医学書院,第7版,p345
第53回理学療法士国家試験、第53回作業療法士国家試験の問題および正答について
https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/topics/tp180511-08_09.html