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第54回理学療法士国家試験 午前-29 義肢装具問題解説

こんにちは,なぜなに。装具です.

第54回理学療法士国家試験の中から

義肢装具関連の問題を抜粋して解説していきます.

問題を解くうえで

第54回理学療法士国家試験,

最初の義肢装具関連の問題は靴の補正に関する問題です.

靴の補正は種類も多くあり,目的も様々です.

靴の補正について考える時に大切なのが

  • 靴のどこを補正するものか
  • 何を目的とした補正か

という点です.

出来ることならば全て押さえておきたい所ですがなかなか大変です.

ポイントを押さえて重要な部分は落とさないようにしましょう.

靴の補正の分類

では靴の補正について見ていきましょう.

まずは靴のどこを補正しているかです

  • 踵の補正
  • 足底の補正
  • 靴内部の補正

この3つに大きく分けられます.

考える時の1つの基準ですね.

もう1つが,何を目的としているかです.

大まかに分類すると

  • 支持をするため
  • アライメント・重心の移動を変えるため
  • 免荷するため

の3つに分けることが出来ると思います.

踵部,足底部,靴の内部のそれぞれの補正の詳細については

↓コチラの記事をご覧いただければと思います

解答の考え方

それでは問題の選択肢を見ていきましょう.

1.のThomasヒール

踵部内側を延長して内側アーチを

支持することを目的としたもので

外反足に用いられるので

この選択肢は誤りですね.

2.の内側フレアヒールは,踵の内側部分を広げて基底面を増やす加工で

接地時の内側方向への安定や矯正を目的として使用されます.

内側フレアヒールは外反足に用いられるので,この選択肢は誤りです.

3.のクッションヒールは,

靴の内部の補正であるヒールクッションの事でしょうか?

踵骨棘や足底腱膜炎の際に用いられ,踵部の衝撃吸収や免荷を目的としています

ただし,踵に行う補正であるサッチヒールは,

クッションヒールと呼ばれることもあります.

踵の一部が柔らかいクッションで

重心の移動と衝撃吸収

主な目的とした加工です.

足関節の拘縮や強直による

足関節可動域の代償や,

踵骨棘などの衝撃吸収

目的として用いられます.

設問がどちらを想定していたのか不明なのですが

どちらにしろ,内反足には用いられないので誤った選択肢ですね.

4.のメタタルザルバー足底部に行われる補正です.

中足骨頭の近位を支持することで,中足骨頭の荷重を免荷します.

これも内反足とは関係が薄いので誤った選択肢です.

5.の外側ソールウェッジは,前足部の足底に行われる補正で

アライメントの補正と重心の移動を目的としています.

外側に楔を付けるものでは,内反足やO脚の矯正

中足部での荷重を内側へ移動させるために用いられるため

これは正答の選択肢となります.

まとめ

靴の補正とその目的について解説しました.

靴の補正は種類も多く,その目的も様々で義肢装具分野の勉強をする中でも

きっちり覚えるのはなかなか大変な内容だと思います.

内容自体は基本的なものですが,知らないと何をしているのか

分からない補正もあるので.問題の難易度としては

知っていれば簡単だけれど,分からなければ次の問題へ…

という問題かもしれません.

分かれば簡単なので,試験の数週間前にまとめてチェックして

種類や目的を押さえておけると良いのではないでしょうか.

実際の臨床では,靴は外を歩く際にほぼ必須の道具といってよいですし

靴が歩行に与える影響は非常に大きいです.

目的に合わせた靴がどのようなものなのか,知っておくことが出来れば

ユーザーさんにもアドバイスしやすいかもしれません.

参考資料

本義肢装具学会 監修,装具学,医歯薬出版,第3版,p29

加倉井周一,新編 装具治療マニュアル,医歯薬出版,第1版,p263

松野丈夫 ほか(編集),標準整形外科学,医学書院,第12版,2015,p701

厚生労働省 補装具支給事務ガイドブック p146

https://www.mhlw.go.jp/content/12200000/000307895.pdf

NAZENANISOUGU

都内某施設でリハビリテーションに携わる理学療法士&義肢装具士です. 「装具」を使用する,ご本人や家族や,これから勉強する学生や新人さんに.装具ってどんなモノなのか?なんで着けるのか?使う時の注意は?など少しでも理解が広がればと思います.興味あれば是非フォローお願いします.