長期間使用する装具では
治療用装具,更生用装具ともに
メンテナンスが必要です.
しかし,更に長く使用すると
装具はどんどん消耗してしまいますし
場合によっては身体の状態も変化し
今の装具が合わなくなってしまいます
消耗した装具や,身体に合わなくなった装具を使い続けることは
日常生活に支障があるだけでなく,身体にも悪影響です.
そういった場合には装具を再度作成し直す必要があります.
今回は装具の再支給とそれに関わる耐用年数について解説していきます.
補装具の支給は,原則として1種目につき1つです.
例えば,同じコルセットのスペアを確保して日毎に使い替える
という場合には,1つ分しか保険制度等を使用して支給されません.
職業上,教育上2つ必要であると認められた特別な場合や
自費で2つ目の装具を作成するといった例外を除いて
基本的には1つの装具をなんとかやりくりしながら使う必要があります.
しかし,ずっと使用していれば
コルセットやインソールは摩耗し
ベルトはつきにくくなり.
酷いとプラスチックにヒビが入ったり
金属も削れて最悪折れてしまいます.
そういった場合には装具の修理か
もしくは作り直しが必要となります.
装具の再支給の判断は,
装具の種目や型式などで定められた
「耐用年数」が経過すると
再支給が行われています.
「耐用年数」がどのように決められているかと言うと.
つまりこの「耐用年数」が経過するまでは,
基本的には修理をしながら装具を使用していく事となり.
修理ではどうにもならなくなったら,再度作成で支給されるということですね.
ここで勘違いないよう注意したいのが
電化製品の「保証期間」とは
全く違うということです.
電化製品の保証期間は
普通に使っていれば何事もなく使える
期間だと思います.
一方,装具の場合は「耐用年数」内でも.修理が必要となるかもしれません.
疾患や装具の種類,活動度によっては装具に非常に大きな負荷がかかります.
想像しづらいですが,人の力も何万回と繰り返せば金属を摩耗させます.
「耐用年数」以内だから,何の問題もなく使えるだろう…
とは思わずに,数ヶ月に一回は装具の様子をチェックして.
何か問題がありそうならば修理の相談をして頂くと安心ではないでしょうか.
上記の通り「耐用年数」は,通常使用時に修理不能になるまでの
予想年数を目安として定めているものです.
あくまで目安でしかなく,実際装具がどれだけ消耗するかは
人それぞれの疾患や使用環境,活動度によって変わってきます.
耐用年数期間内であっても,修理より新たに作成したほうが良いと
認められれば再支給がされますし.
逆に耐用年数が過ぎていても,機能が十分で問題なければ
修理をしながら使えるという事で,再支給されない場合もあります.
また障害状況の変化で身体に適合しなくなってしまった場合は
期間内であっても支給されますし.
災害や労災など本人の責任によらない破損などの場合も支給されます.
このあたりは,医師等専門家や支給をする保険者次第でもあるので.
よく相談しながら,修理を行うか再作成するか考える必要がありますね.
では実際装具の種類によって
「耐用年数」がどのように設定されているのか確認していきましょう.
装具の耐用年数一覧はコチラから
公益財団法人テクノエイド協会,補装具費支給事務ガイドブック,p38
日本整形外科学会 ほか(監修),義肢装具のチェックポイント,医学書院,第7版,p348