この記事は,靴の補正についての
補足の記事となります.
→コチラに目を通して頂くと
より分かりやすいかもしれません.
インソールを含めた靴の内部の補正は
足部に直接触れる部分であるため
足のバランスを補正したり
部分的な免荷をする際に
とても大きな力を発揮します,
そんなインソールですが,使用・作成する上で留意したい点があるので
補足をしていきたいと思います.今回はインソールと足のズレについてです.
ユーザーさんにも知っておいて頂くと嬉しいです.
結論から言ってしまうと,どんなに工夫しても大なり小なり
足とインソールではズレが生じてしまいます.
ですが,足とインソールのズレが大きくなってしまうと.
せっかく足に合わせて行った補正も位置がずれてしまいます.
免荷する位置がズレれば,もちろん当たって痛いですし
場合によっては皮膚のトラブルは悪化します.
アーチサポートの位置がズレれば,本来そこまで支持の必要がない場所が
支持され突き上げ感や痛みに繋がしますし
支えたかった場所の支持性が少なく効果は減ってしまいます.
足がズレる原因には対策が必要ですが
その前提としてユーザーさんに
理解していただきたいのは.
冒頭でも触れたとおり,
頑張っても多少はズレてしまう
ということです.
もちろん,使用していて痛かったり
問題があれば相談して頂きたいですが
日々の生活の中で,ズレているかな?
痛いかな?痛くないかな?
という事に集中しすぎるのは
あまり良いことではありません.
大切なのは,ポイントを押さえてチェックと対策をすることです.
ズレる原因をきちんと知って,予め対策したり定期チェックすることで
「そういえば最近痛くないかも」という日常生活が送れると理想的ですね
一方で,処方・作成する側としては.可能な限り足のズレを少なくする
方法や選択肢を提供できるように最善の努力が必要です.
インソールを使っていく上で,インソールの良し悪しと同じくらい
どのような靴に入れて使っているのか?ということは重要です.
足と靴のフィッティングを見る時に気にする点は多くありますが.
「ズレ」という点を重視すると,周径が合っているかは重要です.
靴と足の周径は
ボールガース…第1.5中足骨頭(親指と小指の付け根)の周径
ウェストガース…第5中足骨の骨頭と基部の中央(足の細い部分)の周径
インステップガース…第5中足骨基部の周径
ヒールガース…踵の後端から足背部への周径
を基準として考えますが.
今回特に重要なのは,ボールガースとウェストガースです.
ちょっと違いはありますが,
パンツのウエストを想像して頂くと分かりやすいかもしれません.
ウエストガースは,足の細い部分でパンツのウエストと同様に
靴と足を固定する部分です.ここが緩いとズレやすいですね.
逆にボールガースは,足の前側で一番幅がある部分です.
ゆとりが大きすぎるのは良くないですが,キツすぎると靴が履きにくく
痛みや皮膚のトラブルの原因となってしまいます.
実際靴を選ぶ際にはどのような点に気をつければ良いでしょうか?
足とインソールのズレという点にフォーカスして見ていきましょう.
靴を選ぶ時,皆さんサイズを確認していると思います.
ですが,ご存知のかたもいらっしゃると思いますが.
サイズ表記はあくまでも,「そのサイズの足に合わせて作った靴だよ」
という目安でしかありません.靴によって全然違いますよね.
人それぞれ,指先の形も違うので.
人によっては部分的にきつかったり緩かったりします.
やはり確実なのは,実際試着して確認することです.
その際にチェックしたいのが,「足長」と「足囲」が合っているかです.
「足長」は踵から一番長い指先までの長さです.
靴のサイズ表記の基本となっているものですね.
足先には1~1.5cm程度のゆとりがあると良いとされています
(足のサイズにもよります.お子さんはもう少し小さくても良いです)
元から入っているインソールがあれば,それを取り出して置いて.
踵を揃えて足を乗せた時に,指の幅1本分程度のゆとりがある
靴を選んで頂くのが良いと思います.
「足囲」はボールガースに対応する
第1.5中足骨頭(指の付け根の幅が広い部分)の周径です.
「ワイズ」として表記されている事がほとんどで,
足囲,足幅,足長の2ヶ所の数値を計測することで
A~E.3E.5Eなどのアルファベットで表されています.
Aが細く,Eの数が増えるほどボールガースのゆとりが大きくなります.
きちんと計るのが一番ですが,試着して確認するのが良いですね.
履きやすい靴を見つけたら,ワイズがいくつなのか確認しておくと
次の靴を探す時の目安にもなると思います.
この「足長」と「足囲」が合っていない靴だと.
どこかがキツかったり緩かったりする靴であることが多いです.
足とインソールのズレを大きくする要因となってしまいます.
靴を選ぶときは,まずこの2つをしっかりチェックして選びましょう.
今回は,インソールと足のズレによってどのようなマイナスがあるのか.
そしてズレを起こす要因として,靴選びの基本である
足長と足囲について解説をしました.
ズレの原因として,「合っていない靴」はかなりの割合を占めます.
インソールは靴の一部です.インソールが良かったとしても
靴のサイズが合っていなくてズレてしまっては.
せっかくのインソールも意味が薄れてしまうので
選ぶ際には1つのポイントとして見て頂くと良いと思います.
次回は引き続き,靴を選ぶ際に注意したいポイントについて
解説していくので是非そちらも見ていただければと思います.
日本義肢装具学会 監修,装具学,医歯薬出版,第3版,p42
日本産業調査会 JISS5037 靴のサイズ
https://www.jisc.go.jp/pdfa4/PDFView/ShowPDF/gAEAAAEzgX-L7kKYch8l