第55回理学療法士国家試験 午後-30 問題解説

第55回理学療法士国家試験 午後-30 問題解説

こんにちは,なぜなに。装具です.

PTOT国家試験義肢装具関連問題の解説をしていきましょう.

今回は下肢装具の足継手の働きについてです.

問題を解くうえで

短下肢装具の足継手の機能は,おそらく学校の授業でも重点的に扱う

基本中の基本の内容ではないかと思います.

一方で,名称や機能だけを短い授業の中で叩き込まれると

なんだかややこしいですし,結局何のためのものなのかよく分からず

装具そのものに興味が持てない…なんて事もあるのではと思います.

今回の問題ではそんな装具足継手の機能について1から復習していきましょう.

覚えておきたい重要な点は…

  • 装具の関節の制御方法
  • 足継手の設定が下肢に与える影響

となります.

足継手は,5つの制御方法を組み合わせて関節をコントロールしており.

必要な時に必要な制御をして,体重を支持したり変形の予防や矯正をしたり

失われた機能を代償しています.

足継手の関節制御

それでは,足継手が関節にどのような影響を与えているのか確認しましょう.

やっている事自体はとてもシンプルです.

その制御が,立位や歩行などの動作をした時に.

どのような効果があるのかを考えることがとても大切です.

まず前提として知っておいてもらいたいのが

装具の足継手の「ほとんど」が足関節の底屈・背屈を制御するものです.

底屈・背屈をどのように制御するか確認していきましょう.

遊動

まず最初に「遊動」です.

遊動は,可動域内を自由に動ける

何も邪魔をしない状態です.

これが基本となりますね.

遊動

制限

2つ目は「制限」です.

可動域を特定の場所で制限

制限されていない部分は遊動です.

任意の角度で制限を調整できる

継手が多いのですが.設定次第で

底屈の制限尖足を防ぎます

制限

また1つの関節の制限隣接する関節に影響を与えます.

背屈が制限されると,膝の屈曲がしづらく膝折れの防止に繋がります.

固定

3つ目は「固定」です.

底屈・背屈の可動域を完全に制限することで

足関節の動きを固定します.

当然ですが,制限よりも大きな影響を

関節に与えますね.

固定

制動

4つ目は「制動」です.

制動とはブレーキをかける事で.

制動している区間はブレーキがかかりながら

動くことが出来ます.

強いブレーキをかければ完全に動きを止めて

最後には制限となるよう調整も出来ます.

制動

プラスチックの撓みや,油圧などで制動を行いますが.

制動が始まる角度,制動されずに遊動な角度,強い制動で制限となる角度など.

状況に合わせた細かい設定が求められます.

補助

5つ目は「補助」です.

制動とは逆に,その方向に動くことを助けます

バネやプラスチックの撓みを利用します.

補助

この5つを組み合わせて関節の制御を行います.

逆に言うと装具の足継手は,これ以外のことは出来ません

制御の影響の結果,動作にどのような変化があるのか考えることが必要ですね!

その他の運動方向の内・外転,内がえし・外がえし「固定」されています.

足関節の制御が必要な方にとって,多すぎる運動方向の自由度

上手にコントロールする事が難しいので.

自由度を制約することで,動作を簡単にして動作や練習を行います.

解答の考え方

問題を考えていく前に,選択肢の文言の

「前方制動」について解説しましょう.

この呼び方は装具の継手を基準にしています.

装具の初期に設定したアライメントによって

変化することがありますが.

底背屈の中間位を基準に継手と支柱があれば

前へ継手と支柱が傾く方向への制動…

つまり背屈の制動を表します.

後方制動底屈制動ですね.

前方・後方制動

では選択肢を1つずつ確認していきましょう.

まず尖足の選択肢ですが.尖足で取るのは底屈位ですよね.

立脚,遊脚ともに底屈位を中間位に近づけるよう足関節を制御したいです.

よって尖足に必要なのは,底屈(後方)制動制限であり.

1.尖足…前方制動 の選択肢は誤りですね.

尖足

底屈制動

次に反張膝です.膝関節そのものの問題で膝過伸展してしまう場合とともに.

足関節尖足(底屈位)で荷重することで,MStに反張膝を招きます.

足関節の制御は,隣接する膝関節にも影響を影響を与えるので.

足関節の底屈を抑えると,膝関節は伸展しにくくなり反張膝を防ぎます

反張膝に必要なのは底屈(後方)制動なので

2.反張膝 …遊動の選択肢は誤りです.

この場合,遊動は何もしてないのと一緒ですね.

反張膝

底屈制動

続いて立脚期の膝折れです.

膝伸展する筋力が少ない場合などに起こるのが代表的ですね.

立脚時に膝折れ(屈曲)する時に,隣接する足関節は背屈しています.

ということは,逆の影響を与えることも出来るので.

背屈(前方)制動や制限をする事で,膝の屈曲を防ぐ事が出来ます.

3.立脚期の膝折れ…前方制動 が正答となりますね.

膝折れ
背屈制動

次の4.下腿三頭筋の痙縮は,この問題では尖足とほぼ同義ですね.

底屈(後方)制動が必要となるので,遊動は誤りです.

最後に前脛骨筋の弛緩性麻痺です.

これは下垂足ということで,遊脚期に中間位を維持できず底屈してしまいます.

足を浮かせた時にトークリアランスと確保するための中間位保持を行う,

底屈(後方)制動が必要となりますね.

下垂足
底屈制動

まとめ

下肢装具の足継手の働きについて解説をしてきました.

前方制動後方制動という言葉がちょっとややこしいかもしれませんが

比較的よく使われる表現なので覚えておきましょう.

遊動が基本的に関節の制御に影響を与えない,

何もしていないのと同じと考えると,実質選択肢は2択なので

難易度としては「絶対落としてはいけない,基本の問題」

と言えるかもしれませんね.

実際に大切なのは,これらの知識をどう活かすかです.

装具を使って関節の制御をした上で何をするのか

日常生活を送りやすくするのか,歩行の運動学習をするのか

目的によって装具に求められる機能は大きく異なってきます.

今回の選択肢に出てきたような,

基本的な部分はパッと思い浮かぶようにしておきたいですね.

参考文献

日本義肢装具学会 監修,装具学,医歯薬出版,第3版,p63

日本整形外科学会 ほか(監修),義肢装具のチェックポイント,医学書院,第7版,p237

第55回理学療法士国家試験、第55回作業療法士国家試験の問題および正答について

厚生労働省HP

https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/topics/tp200414-08_09.html

元つぶやき

Twitterでのつぶやきを再編したものです.

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