装具完成から使用が終わるまで

ここまでで,よくある装具作成が決まってから完成までの流れを解説しました

まだご覧になっていない方は,コチラから先に見て頂きたいです.

どんな装具が出来るのか?という意味では,ここまでの装具の検討

義肢装具士さんによる作成と装具の仕様の決定が重要でしたが.

どんなに良い装具が出来たとしても,その後どのように使っていくのか?

によって,出来上がった装具の価値も大きく変わってきます

この項では,完成した装具の適合チェックや

使用上の注意や装具の使用を終了する判断について解説していきます.

装具が完成したら

完成と適合チェック

装具が完成すると,来院時に実際に装着してみてチェックが行われます.

完成した装具が

処方した通りの機能を持っていて

運動の制限や矯正,免荷などを

正しく行えているか確認します.

これは適合チェックと呼ばれています

この時,義肢装具士

担当のセラピストも確認しますが.

最終的な判断は医師が行います

装具にどのような目的があるか

その一部はコチラをご覧ください

この時,実際に装着した感想を.ユーザーさんにも確認していきます.

「装具が当たるところがある」「使う時ここが不安」など

今後装具を使用していく上で問題があれば,この時点で修正する必要があります

根本的な仕様の変更は難しいので,装具の作成検討の時点で

たくさん相談をしていただくのが良いと思いますが.

実際着けてみて気がつく部分も多いのではないかと思うので

気になる点があれば医師や義肢装具士に確認してみましょう.

完成後の定期チェックと調整

こうして治療に適した装具が完成したと判断されたら.

装具を使用しての治療が開始されることとなります.

装具の使い方やメンテナンスの方法は再度確認しておきたいですね.

適合チェックで装具の良し悪しの判断を行ったのですが.

おそらく,着けたその場で「どうですか?」と聞かれても

分らないことが多いのではないかと思います.

実際に1~2週間使ってみて,医師の診察時に再度チェックを行い

必要であれば調整をする.という流れが一般的です.

また,装具によってはある程度の期間

使用し続ける物もありますが,

使っていれば当然消耗してしまいます

消耗すると目的としていた機能を

果たすことが出来なくなり

酷くなると破損して

使えなくなってしまいます

定期的な診察の際には,一緒に装具もチェックしてもらうと安心です.

装具をなぜ使うのか,知っておくことはここでも大切で,

使っていて,何かおかしい.」「目的としていた状態と違う気がする.」

と気がつけば,すぐ修理に出すことが出来ますが.

そのまま使い続けると,装具の破損だけでなく身体にも影響があります

長く使う装具ではメンテナンスにも気を配る必要がありますね

装具の使用を終了する時

症状が改善して,装具を作成した目的を達成できれば

装具の使用は終了となります.

処方・適合チェックと同様に.判断は医師が行います

治療が進んできて,

身体の状態が改善してくると.

「もう外しても良さそう!」と

思ってしまいがちですが

自己で判断せず医師と相談しましょう

また,使い終わった装具は少しの間保管しておくことをオススメします.

どのような装具かにも寄りますが,万が一また出番があるかもしれません.

例えばコルセットならば,

今日は重い荷物をたくさん運ぶ

という時に,保管したものを使うのは

良い方法だと思いますし.

手術の後に使用した装具も

あまり考えたくはありませんが

似たようなケガをしてしまう可能性は

ゼロではないので,

必要となる事があるかもしれません.

また新たに作成するのは負担が大きいので,しばらく落ち着くまでは

使い終わった装具を保管しておくと安心ではないでしょうか.

長く使用していく装具の場合は,一定期間使い続けると消耗してしまいます.

修理を行っても対応が困難な場合には次の装具へ作り替えが必要です

その場合には,同様の手順で作成を進めていくので医師との相談が必要です.

装具の「耐用年数」という作成可能な期間が関わってくるので

これについてはまた詳しく解説をしていきますね.

まとめ

装具の作成を検討してから使用が終了するまでの

よくある流れについて解説しました.

治療の方針や,装具の種類によって変わってくるので

医師や義肢装具士など専門家とよく相談しながら

装具を作成することが,使いやすい装具を作成するため

大切なことではないかと思います.

次の項では,装具を作成する際に必要となる

代金と支給に関わる手続きについて解説していきます.

参考資料

日本整形外科学会 ほか(監修),義肢装具のチェックポイント,医学書院,第7版,p8

東京都福祉保健局 東京都心身障害者福祉センター 補装具費支給制度

https://www.fukushihoken.metro.tokyo.lg.jp/shinsho/hosougu/hosougu.html

公益財団法人テクノエイド協会,補装具費支給事務ガイドブック,p6

https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12200000-Shakaiengokyokushougaihokenfukushibu/0000070149.pdf