こんにちは,「なぜなに。装具」です.
今回お話していくのは,以前紹介した.「装具について学びたい時.まず買うべき本TOP3!」の義肢バージョンです.
といっても私自身,装具と比べると義肢は更に勉強中の分野なので.義肢に精通した先生だとまた違った意見があるかもしれません.
よく義肢について勉強したり調べる時に,使用していた書籍ですので.1つの参考となればと思います.
はじめに.
義肢に関するオススメの本と言ったものの.装具と比べるとその数はとても限られていると思います.
その実際を知るためには,論文や海外の書籍,義肢パーツメーカーさんなどの情報も重要となってきますが.
まずは義肢に関する基本的な知識がなければ.それらを学ぶ事も難しいですよね.
装具以上に触れる機会が少なく.一部義肢に関しては,限られた施設でリハビリでしか処方が行われていない事もありますが.だからといって義肢ユーザーさんと関わる機会がないという訳ではないですよね.
そんな時に,何も分からずに触れることも出来ない.といった事がないよう,基本的な知識を身につけておくための書籍を紹介していきます.
3位.切断のリハビリテーション
まず買うべき義肢の本,「3位」は
切断のリハビリテーション―知っておきたい全プロセス
Barbara Engstrom,協同医書出版社
です.
義肢を含めた,切断前から切断後まで行われていくリハビリテーションの一連の流れについて記載されています.
今回紹介する書籍の中では,「リハビリテーション」に寄っているため.比較的セラピスト向けの書籍ではないでしょうか.切断前,術直後,義肢装着後からそれ以降と,移り変わっていくリハビリテーションと関わる医療チームが理解しやすいです.
国内の生活様式に関する補足は必要ですが,一連の流れを知るにはとても良い本です.
2位.切断と義肢
まず買うべき義肢の本,「2位」は
切断と義肢
澤村 誠志,医歯薬出版
です.
国内の書籍の中で,「義肢」に関して最も多くの情報を得ることが出来る本ではないでしょうか.
日本義肢装具学会監修の「義肢学」と共に,義肢に関する教科書としてはバイブル的な存在ですね.(義肢学も澤村先生編集です)PTOTが持っている義肢装具学の教科書のほとんどが,この書籍の一部を取り上げていると言って良いです.
国内の義肢に関する過去から現在がまとまっている書籍で,義肢について詳しく調べたい時に見る本として最も優れていて.股義足や片側骨盤切断用義足,肩義手など少し特殊な義肢に関する情報を得ることも出来ます.
義肢は,最新の知見も大切ですが.同時に過去の義肢について知ることも重要です.最新の継手や骨格構造の義肢ではなく,現在も古くから使用されている殻構造の義肢を愛用されているユーザーさんはまだまだ多くいらっしゃいます.
義肢に関する知識全体を高めるという意味でも.義肢に関わることのある施設でしたら,あると良い本の1つではないかと思います.
1位.義肢装具のチェックポイント
まず買うべき義肢の本,「1位」は
義肢装具のチェックポイント
日本整形外科学会,医学書院
です.
「またか」と言われてしまいそうですが,装具部門と共に2冠です.義肢装具について学びたい方は,本当に持っておきたい本と言えると思います.
装具の時と同様ですが,「まず最初に見る辞書」のような扱いの本で.義肢に関わる,概要・種類・メカニズム・評価・チェックアウト・支給制度などがまとまった書籍です.
特にセラピスト目線で見ると,義肢のソケットや継手などパーツの種類についてや.義足装着時の異常歩行,義手の適合チェックなど.必要となる項目が分かりやすくまとまっています.
学生さんにとっても,国家試験の義肢関連問題の多くは.この書籍から引用されているかのような内容の問題はいくつもありますし要チェックです.正に,「義肢について学びたい時に買うべき本」と言えると思います.
補足.下肢切断の理学療法
義肢という全体的な項目ではないのですが,下肢切断という括りで勉強となった本なので番外として紹介したいのが.
Q&Aフローチャートによる 下肢切断の理学療法
細田 多穂 (監修),医歯薬出版
です.
その名の通り,下肢切断の理学療法を解説している書籍で.術前リハ,断端管理,術後訓練,義足の処方,義足の訓練と流れを追って自身の持っている知識と必要となる知識をフローチャート形式で確認することが出来ます.
下肢限定となりますが,3位の「切断のリハビリテーション―知っておきたい全プロセス」と共に.義足のリハビリを全体的な流れを知る事が出来るので,併せて見て頂くと良いのではないかと思います.
まとめ.
義肢について学びたい時にまず買うべき本についてランキング形式でまとめました.
良くも悪くも装具と比べて,義肢に関する書籍は選択肢が少ないので.今回紹介した本は一度は見たことがある本も多いのではないでしょうか.
特に「義肢装具のチェックポイント」は,義肢でも装具でも触れる機会があるのであれば持っていたほうが良い本筆頭です.
義肢に苦手意識ある方も多くいらっしゃると思うのですが.義肢は失われた機能を代償するためのものですので.当然その知識は,既に持っている人体の知識の延長線上にあります.
義肢は全部義肢装具士さんにおまかせ!としてしまうと.リハビリの進行にも支障が出るかもしれません.
いつでもPOさんがいるわけではないですし,自分に出来る事と出来ない事を確認する意味でも.これらの書籍を一度見返すと,必要な知識も見えてくるのではないかと思います.
義肢との関わりは限られていますが,逆に言えば受け皿が限定されているということです.下肢切断の大きな原因である循環障害はとても多い身近な疾患ですし.様々な合併症をお持ちの生活期の方で義肢ユーザーの方がいることもあるでしょう.義足ユーザーの方で運動したいと思っていても,対応出来るスポーツクラブは限られていますよね.
もし義肢ユーザーさんと関わる可能性があるならば,そんな受け皿を増やすためにも.これらの書籍を手にとって勉強してみてはいかがでしょうか.