第54回理学療法士国家試験 午後-33 義肢装具問題解説

第54回理学療法士国家試験 午後-33 義肢装具問題解説

こんにちは,なぜなに。装具です.

第54回理学療法士国家試験の義肢装具関連問題について.今回は,直接義肢装具ではないですが,関わりが非常に大きい断端の形態測定についてです.

問題を解くうえで

形態測定は,評価学を授業で学ぶ際にもおそらく一番最初に勉強する内容ではないかと思います.その時点で,断端の形態測定にそこまでフォーカスされることは無いと思いますが.切断・義肢の基本となる非常に重要な要素です.

今回はその中でも,周径の測定に関する問題ですね.

断端は切断直後は特に周径の変化が多い事もあり,定期的な計測をする必要がありますが.四肢周径と比較して断端周径は,その計測の仕方,肢位,計測する時間など多くの要素で,その数値が大きく変わってしまいます.

  • 測定時に基準となる点
  • 測定する肢位
  • 測定する位置

は必ずチェックしておきましょう.

断端,とくに成熟していない状態では.軟部組織をどのように扱うかによって断端の形状は変わります.義足のソケットでは,ソケットの容量のどこにどのように軟部組織を収めるかで使い勝手も変わってきます.

周径を測定する時のポイントでもあり,四肢の周径測定で行っている「メジャーを締めて,戻す」を細かい視点で見ていく必要がありますね.

測定の基準となる点

断端の測定をする場合には,その断端長や断端周径の測定する基準となる点があります.下肢の切断の場合には,その基準から5cm毎を目安に周径の測定を行います.ただし,これはあくまで目安で必要に応じて変更する必要もありますね.

大腿切断での基準点は「坐骨結節レベル」です.ISO(国際産業規格)では,測定位置は「股レベル」となっています.基本的には同一と考えて良いようです.

下腿切断での基準点は「膝関節裂隙レベル」です.ISOでは,「内側膝関節裂隙レベル」となっています.

切断関係なく,形態測定時には基準となる点ですのでしっかり覚えておきましょう.

大腿切断の場合
下腿切断の場合

膝関節離断」「足関節離断」の場合には.断端末の最膨・最狭部の周径を計測します.

これは義足のソケットを作成する際にも必要となってくる測定箇所となります.

また,周径を測定する頻度ですが.日内での周径変化が大きいなど理由があれば,朝夕時間を決めて数日毎に測定することもありますが.基本的には少なくとも「週に1度を目安に測定を行いましょう.

膝関節離断の場合

測定する肢位

断端の採寸を行う時は,立位で行います.術前後で採寸する場合には同条件で採寸するようにしましょう.

また,安全に配慮し平行棒内などで行った方が良いですね.

断端は形成術の方法によっても変わりますが,通常の四肢と比較すると軟部組織の移動量が大きいです.

背臥位では軟部組織が下腿後面に移動して周径が変化します.これだけで断端長と周径の数値は大きく変わってしまうので,採寸する肢位には注意が必要ですね.

立位での採寸
背臥位での採寸

解答の考え方

では,選択肢を見返していきましょう.

1.1ヶ所で計測する.は,明らかな誤りですね.その基準の点から間隔は場合によりますが.下肢切断で5cm間隔を目安に数カ所採寸します.

2.下腿切断では最大膨隆部で計測する.も,誤りですね.膝関節,足関節離断の場合には最大膨隆部で計測しますが,下腿切断では行いません.

3.下腿切断では背臥位で計測する.も,誤りです.立位で採寸を行いましょう.

4.大腿切断では坐骨結節を基準に計測点を決める.が正答です.

5.月に2回計測する.はあまりにも頻度が少ないので誤りですね.場合によりますが,少なくとも週に1度を目安に採寸しましょう.

補足知識

断端の計測部位には,「断端が細くなるレベル」の周径と,端末からの長さというものがあります.

学生の時の私は「ふーん.なんか分かんないけど計るんだ」と思っていましたが.卒後にPOさんから遅まきながらその理由を教えていただきました.

端末に向けて,急激に断端の細さが変わる部分の周径その長さが分かっていることで.細かい間隔で採寸をしてなくても,断端末がどのような形状をしているのか分かる.というのがその理由です.

断端末の形状によっては,弾性包帯を巻くテンションをかける位置や,義足ソケットの形状をその特徴に合わせたものにする必要があります.またその際に起こりやすい問題も変わってくるので断端末の形状がどうなのかは,とても重要な情報です.

通常の間隔で計る周径と,細くなる部分の周径を組み合わせることで,数値だけで断端がどのような形状か,簡単に知ることが出来るという訳ですね.

円筒型
円錐型
先膨れ型

まとめ

下肢切断の周径測定に関する問題を解説しました.

形態測定は評価を行う上で,最初に行うと言っても良い基本中の基本だと思います.通常の四肢測定との共通点と,断端特有の要素を知ることで正しい測定を行うようにしたいですね.

断端の周径測定は,思っている以上に難しいです.メジャーの使い方もしっかり意識して計測しましょう.練習が必要かもしれませんね.

今回の問題は「絶対に落としてはいけない問題」ですね.きちんと復習して落とさないようにしない問題です.

参考文献

日本整形外科学会 ほか(監修),義肢装具のチェックポイント,医学書院,第7版,p47

澤村誠志,切断と義肢,医歯薬出版,第1版,p191

松澤 正 他,理学療法評価学,金原出版株式会社,第5版,p35

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