あっという間に年が変わって1月です.国家試験当日までの残り日数も数えられる程になってきました.
私が国試を受けたときは,「年が変わったら本気を出す」なんて思っていましたが.皆さんはある程度の目処や,当日までの課題が見えてきたでしょうか?
今回も前回に引き続いて,義肢装具分野の国家試験勉強についてです.
前回は,比較的取り付きやすく.まず勉強するのに向いているといっていいような内容でしたが.今回は,試験当日までにしっかりチェックしておきたい内容についてピックアップしていこうと思います.
前回は比較的PTsさん向けの内容が多くなってしまいましたが,今回はOTsさんに向けた要素も多いので.両方合わせてチェックしてみてください!
前回の記事は↓コチラから
傾向と対策から
最終的にはどんな教科も,一通り全部通して勉強をしていく必要があります.国家試験対策という点からみてもそうですし,何よりセラピストとして必要最低限の知識を学ぶためにも重要です.
そうは言っても,その内容は膨大で.手を付けるならば,頻出であったり重要な内容から勉強していきたいですよね.
リハビリのプログラムを作成する時も,よく使う動作や生活に必要な動作を重点的に練習していく事になると思います.最終的には多くを練習する必要がありますが,効率的に,重要なものをピックアップするのもセラピストとして大切な資質だと思います.
前回も触れましたが国家試験において重要な内容は,当然学生さんにも知識としてしっかり持っていて欲しいので頻出の問題となっています.今回は「なぜなに。装具」でも解説をしている,過去5年分の義肢装具関連問題についてどのような問題が出題されているか見ていきましょう.
義肢装具関連問題の出題傾向
第52~56回の5回分の理学療法士・作業療法士国家試験で義肢装具関連問題の出題傾向を,大まかに分類して見てみると以下の通りとなります.
- 下肢装具の適合チェック 5問
- 大腿義足の適合チェック 4問
- 下腿義足の適合チェック 4問
- 義足の構成要素 4問
- 小児疾患などに用いる装具 4問
- 神経障害に用いる上肢装具 3問
- 下肢装具の構成要素 2問
- 下肢装具の目的別選択 2問
- 靴の補正 2問
- 体幹装具の適合チェック 1問
- 末梢神経障害の下肢装具 1問
- 形態測定 1問
- RAの装具 1問
- 神経障害に用いる上肢装具 4問
- 義手の構成要素 3問
- 義手の適合チェック 2問
- 形態測定と義手選択 2問
- 上肢装具の種類 2問
- 筋電義手 2問
- RA装具 2問
こうしてみてみると,義肢・装具通して適合チェックの重要性が分かってきますね.
前回もお話したとおり,適合チェックはセラピストとして義肢装具に触れる際に.これが分かっていないと,何一つ判断をすることが出来ない重要な内容であるため.自然と国家試験でも進出の問題となっているようです.これらについては,もう「出題されるもの」と思って国試に臨んでも良いレベルかもしれません.
また,こうして見てみると.適合チェック以外でもよく出題されている問題が目立ってきます.今回はそういった問題についてピックアップしていってみましょう.
神経障害に用いる上肢装具の問題
まずチェックしておきたいのが,脊髄損傷や末梢神経障害などの場合に用いられる上肢装具に関する問題です.
理学療法士国家試験でも数年に一度出題されている重要な問題ですが.何より作業療法士国家試験では「毎年だいたい出題されている」と言ってもいいレベルです.
ですが,頻出である一方で.必要となる知識がとても多い問題です.
この問題を解くためには,まず神経障害に関する知識が必須です.脊髄損傷のレベルや末梢神経の損傷によって失われた機能がどういったものか知らなくては考えようがありません.
また,この問題の選択肢を見ていただくと分かる通り.装具の固有名詞がよく登場します.これがこの神経障害の上肢装具に関する問題のとても厄介な部分です.
この選択肢をみてどのような装具かパッと思いつくでしょうか?上肢装具の勉強をしっかりしていないと,おそらく分からない方が殆どではないかと思います.
選択肢1.長対立装具.のように,その名称から何を目的とした装具なのか分かれば考えようがあるのですが.
選択肢4.Thomas型懸垂装具.のように,機能と名称がイマイチ結びついていないものについては.それが「何なのか?」全く分からないという状況になってしまいます.
上肢装具の中には,こういった名称のついているものがいくつかあります.
特定の地名(病院名)・人名が装具の名称になっているものについては,残念ですが「もう覚えるしかない」です.しかも困ったことによく国家試験に登場します.機能を表しているものなのか,それ以外なのか?でまず分類してみると良いかもしれませんね.
幸い,頻出の装具はある程度決まっています.過去問の選択肢に登場する装具については,どういった装具でどんな目的に使用するものなのかよくチェックしておきましょう.
よくあるタイプの問題は↓コチラから
義肢の構成要素についての問題
もう1つ,PT・OT共通でチェックしておいて欲しいのが.義足・義手の構成要素に関する問題です.
どちらもそれぞれ非常に重要なのですが.特に作業療法士国家試験では,義手が絡んだ問題が「ほぼ毎年」といってよいくらい出題されており,その中では構成要素について理解していないと解きようがない問題も多いです.
義手も義足も,ソケット・継手・足部or手先具という基本的な構成要素について問われる事が多いのですが.特に義手では細かいパーツについての問も多いです.
例えばこういった問題のように,それぞれのパーツがどのような役割を持っているかを問うパターンが多いです.義足では特に,これらのパーツが元々の身体のどの機能を代償しているのか?という点を併せて覚えていくと学びやすいのではないかと思います.
義足の最大の目的は,体重の支持です.それに付随する様々な機能がどのようなものなのかはチェックして置きたいですね.
より難しいのは義手の方です.構成要素の選択によって,義手の機能は全く異なるものとなってしまいます.そういった「義手の機能を特徴づけるもの」や,「特定のケースで必要となる組み合わせ」といったものが存在し,特徴的であるため国家試験の中でも非常によく問われる内容となってしまっています.
基本的な構成要素である,ソケット・肘継手・手先具についてはもちろんのこと.能動義手の操作を決定づけるコントロールケーブルシステムやハーネスについても.前腕義手・肘義手・上腕義手・肩義手それぞれでどのような組み合わせが必要となるのかが重要です.
繰り返しとなりますが,毎年出題されるような内容なので.義肢の構成要素については,義肢装具の勉強の中でもしっかり時間をとって個別にチェックしておきましょう.
義足の構成要素に関わる問題は↓コチラ
義手の構成要素に関わる問題は↓コチラ
まとめ
PT・OTの国家試験義肢装具関連分野の勉強について.試験当日を迎えるまでに必ずチェックしておきたい内容をお話してきました.
頻出の問題から,重要な問題をピックアップしましたが.やはり出題する側も,卒業後にセラピストとして義肢装具に関わる上で重要な内容については知っておいて欲しい!と考えるものだと思います.
最終的には,全体をチェックしていく必要があるわけですが.基本的な部分の知識があると付随する知識も学びやすいと思います.今回紹介したような内容からまず手をつけていき,国家試験に臨む上で必要な知識をマスターした上で本番に臨むようにしたいですね!